【浦和の店長】新店店長へのインタビュー
「甘み」に関する食生活シーンを豊かにする! それが今後の「アカシエ」です ♪
――― 出店についての興味深いお話を色々とありがとうございました。
ところで、今後「アカシエ」としてどのようなお店を目指していかれるか?といったような方向性に対するお話にも興味があります。伺ってもよろしいでしょうか?
そうですね。埼玉県への恩返しという話をしましたが、そういったことをこれからのステージで、お店を通じて表現していくことが私たちの使命だと思っています。
――― 表現ですか?具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?
「洋菓子店」から一歩進んだお店にしたいと思っています。
――― 「一歩進んだ」とは?
洋菓子を提供するだけでなく、「甘いもの」に関わる素材や食材といった商品を提供したり、更に素材提供を通してお客様がご自宅で「洋菓子作りの経験」もできる、そういったことのできるお店にしたいということです。
私たちは、これまでの10年間で全国の農家さんや酪農家さんとの出会いによって、本当に多くの美味しい食材を知ることができました。
先ほども言いましたが、浦和エリアの方々は「食や生活に関する関心の高い」方が多い、ご自身の身体への責任感が高い方が多いと感じています。伊勢丹が受け入れられるのもその証左と思っていますし。
で、あれば・・・ 「伊勢丹のバイヤーさんが全国から集める良質のもの」が受け入れられるのであれば、それと同様に、私どもが全国から探してくる「美味しいもの」も受け入れられる土壌はある、と思っています。
何度も言いますが、浦和の方は間違いなく「食への意識も高い」。それであるならば、これまでに私が知った「美味しい食べ物」、それに「私どもの世界観」ですとか「安心・安全」といった付加価値を付けてご提供できるのではないかと思っています。
「洋菓子店」という壁を越えて、ちょっと伊勢丹のようになりますがセレクトショップ的に「商品」を並べる。
――― アカシエさんの「世界観」とは、基本的には「甘いもの」関連ですね?
当然そうなりますね。
「甘いもの」を核とした関連商品です。実際に、私たちがケーキを作る際に使っている、果物ですとかブレンドの生クリーム。スポンジを冷凍真空したものなどもあり得ますよね。
他にも世界のカカオですとか。
「埼玉県への恩返し」という意味で、県内の「洋菓子に関係する美味しいもの」でいっても、狭山のお茶ですとか、深谷のトウモロコシ、あとはハチミツなんかもありますね。
――― 本当に美味しそうですね! 私たちの「甘いものに関する食生活シーン」を豊かにしてくれるお店さんですね?
おっしゃる通りですね(笑)
「アカシエ」はもともと「パティスリーアカシエ」という店名でした。それを今年、「パティスリー」を除いて、「アカシエ」にしましたが、これも「洋菓子店の限界をつくりたくない」という私たちの意思の表れです。
これまでに言ったことが1年や2年でできるとは思っていませんが、まずはそこまでを目指します。
《世界のカカオ》
《季節の果物》
――― ありがとうございます!
最後に、日本の洋菓子業界の現状や今後の課題などについても少しお伺いしてもよろしいでしょうか?
日本の洋菓子界はこれから大変でしょうね。
――― ・・・と仰るのは?
洋菓子業界の要となるのは職人ですが、その職人を育てるシステムというのが日本ではありません。
――― 海外ではそういったシステムがあるということでしょうか?
私は、フランスで修業していましたのでフランスの話になりますが、フランスでは国が職人を育成していくシステムが確立しています。
例えば「C.A.P.(セー・アー・ペー)」という職人の国家資格がありますが、これを取得するとまずは「ビジネスとしての職人」として一般に認められます。
日本のお菓子の専門学校などとの違いで言うと、単に「お菓子作り」ができるというだけでなく、売上ですとか原価ですとか、言ってみれば少し経営に踏み込んだ部分まで求められる資格なんです。
言い方は悪いかもしれませんが、経営はきれいごとだけでは務まりません。C.A.P.を最初に取ってから見習いで店舗にはいることによって、お店で何をして良いか、どう動くべきかが自分でわかるわけです。
また、フランスでは見習い期間中は国が店の代わりに給料を半分補助してくれたりしてくれる制度もあったりします。
そのほか、「職人の地位」という意味では、MOF(編集部注:国家最優秀職人賞)というかなりシビアな賞もあります。職人の腕はもちろん、経営の腕や後継者育成などについても基準がありそれらをかなりシビアに評価されます。それだけ「職人」というものを国が大切に扱っていることがわかります。
――― 凄いですね。日本では違うのでしょうか?
フランスでは国が見習い従業員の給料を負担する制度があるといいましたが、日本にはそういうものはありません。
また、学校によっては真剣に勉強していなくても卒業できてしまう専門学校があるのも事実です。そうした新人従業員がいきなり店に立っても何もできないのは当然ですが、一方で店側は当然の義務としてお給料を支払わなければいけません。
日本では、国ではなく各個店に職人の育成を丸投げされているという印象があります。
これをどう解決していくか?それが私の感じる日本の洋菓子業界の課題です。
――― 実際に解決方法はあるのでしょうか?
以前であれば、見習い期間中は給料も少なく、サービス残業なども当たり前でした(笑)
しかし、今はそういう時代ではないですからね。
見習い従業員の給料分も店が稼がなければいけません。
そういう点においても、先ほどあげた「洋菓子以外の商品を取り扱う」というのは理にかなっていると思います。“ケーキ”は、作業工程を考えると人件費などコストがかかりますからね。
それに比べると、美味しい果物などの果実や素材を自分の目利きで選んでお店に置いて販売することは利益面でのメリットがあります。
関連製品での売上比率を高める、他にも方法はあるでしょうがこういった企業努力は「次世代の洋菓子店の運営方法のありかたのひとつ」だとおもいます。
また、先ほどご自宅での「ケーキ作りの体験」を提供するということを申し上げました。
これは、ケーキを実際につくることで興味を持っていただくことだけでなく、厨房の裏側といいますか「ケーキをつくるにはどういった材料がどのくらい必要で、どれが幾らくらいするのか?」といったような理解にもつながると思っています。
――― 職人さんの育成問題が大きな課題になっているわけですね?
ええ。 それから、最後にですが「これからの洋菓子店は、今まで以上に誠実でなければならない」という点も挙げておきたいと思います。
――― 具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?
ええ。先ほどの問題が、職人の問題 ・・・業界の内側の問題、だとすれば、もう一つお客様対応の問題があります。
――― 「お客様」ですか?
はい、今の時代情報は何でもすぐにネットで入手できる。
・・・洋菓子業界に限った問題でもないと思いますが。
例えば、「あのお店のケーキにはどこどこの素材を使っている」「あそこの店のケーキは安全じゃない」
こういった噂がネットや口コミですぐに広まってしまうんですね(笑)
ところが、私たちプロから見てみるとそういったネット上の噂や批判は必ずしも正確でないことも多いです。
けれど、実際には声の大きい方、評論家さん的立場の人の声が通ってしまったりする・・・
これはとても危ういことだと感じています。
――― そうですね。ネットでの噂を参考にすることは色々な場面であると思います。
こういったことに対応するには、常にお客様に対して誠実であり、正直であり続けるしかないと思っています。
私たちが「本当に美味しいと思っているもの」を提供し、「本当に安心・安全であると思っているもの」をお出しする。
それに私たちの世界観をも乗せていく。
この姿勢を続けていくことで、お客様からの信頼を獲得していく必要があります。
こういった付加価値を誠実に提供し続けることのできないお店は、これからの洋菓子業界では通用しなくなるんじゃないかと感じています。
――― お店の「信頼ブランド」の重要性が増してきているわけですね。
仰る通りです。
私どもはこれまでの10年間で「アカシエ」ブランドを多少なりとも構築することはできました。
私たちだけではありませんが、こうしてブランドを先に築くことのできたお店が、業界の成長を守り、後進の育成をはかっていく責任もあるのかな、とも思っています。
――― 業界の中で「アカシエ」さんにかかってくる期待も大きいですね。本日は、お忙しい中本当にありがとうございました。
ありがとうございました(笑)
(インタビュー了/文責・深沢周右)
興野 燈(キョウノ アカシ)氏
株式会社アカシエ
代表取締役
シェフ・パティシエ
埼玉県春日部市出身
都内ホテルや店舗で修業後渡仏
パリで修業後帰国し
2007年「パティスリーアカシエ」を浦和に開店
2018年「アカシエ北浦和本店」を開店
インタビュー編は以上になります。
如何でしたでしょうか?
パティシエとしての興野氏、
オーナー経営者としての興野氏、
そして、洋菓子業界で働く一人の業界人としての興野氏、
それぞれの御立場からのお話が伺えたと思っています。
実際にお話しさせて頂いて感じたのは、興野氏が本当に熱い想いをもった方だということ。
今後のビジョンを明確に持っているというだけでなく、それに向けて実際にチャレンジを続けていらっしゃる。
とてもパワーのいることだと思います。
そして、そういったパワーの源として「浦和の方の地元愛」がある、というようなことも仰っていただき、
『まいぷれ浦和』としてもとても嬉しいインタビューとなりました!
興野様、そして記事には登場していませんが常務取締役でもあるご夫人の愛様、
お忙しい中撮影に協力いただいたスタッフの皆々様、
当日は本当にありがとうございました。
【店舗情報】
オープン日 | 2018年10月11日 |
取材時期 | 11月上旬 |
店舗名 | アカシエ 北浦和本店 |
所在地 | 浦和区常盤10-6-11 浦和常盤KSビル |
電話番号 | 048-829-7007 |
営業時間 | 10:00~18:00(売切次第終了) |
定休日 | 水曜日 |
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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